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●活 動 (委員会など主な県政活動) |
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○令和5年12月議会「農林水産委員会」一般質問 |
『気候変動による愛知の海の異変と、影響への対応について』質問しました。 |
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振り返れば2023年の日本は、災害級ともいわれる猛暑に見舞われ、地球温暖化ではなく「地球沸騰化」との言葉も飛び出した。日本近海では世界平均よりも水温の上昇率が高くなっているとの話もあり、この気候変動により、農産物や水産物への影響も非常に危惧される。本県でも、本来は南方に生息し、三河湾の海には生息しないはずの魚の水揚げが増えている、とも聞くが、今、愛知の海で何が起こっているのか?
【高橋正子】
三河湾・伊勢湾の海水温の変化や生息する水産動植物の状況など、どんな異変が起きているのかうかがう。
【水産課担当課長】
国の報告によると、日本近海における平均海面水温は2020年までの100年間で1.19℃上昇している。また、本県沿岸においても、県が三河湾に設置した自動観測ブイの観測結果から、水温の上昇が認められ、特にノリ養殖が始まる秋季には平均海面水温が10年あたり0.5度と顕著に上昇している。こうした海水温の上昇など、近年の海洋環境の変動により、水温の低い冬に行われるノリ養殖では養殖期間が短くなっている。また、魚類では暖かい海を好むマダイやサワラなどが増加する一方、冷たい海を好むイカナゴが大きく減少するなど、獲れる魚や獲れる場所が変化している。
これら海の異変により、漁業や養殖業に与える影響は大きいと推察する。
【高橋正子】
漁業経営者からは漁獲量の変化や経営状況など、どのような声が聞かれるのか?また、漁業関係者の海の変化への対応についての取組もうかがう。
【水産課担当課長】
ノリ養殖では、秋の水温の低下が遅れていることから、養殖開始時期が25年前と比べて10日程度遅れ、養殖期間が短くなっているとともに、ノリを食べる魚が漁場に留まり、食害が増加しているなどの影響がみられる。海の栄養塩不足も相まって、ノリの生産量は減少しており、漁業者からは今後の経営に対する不安の声が聞かれている。こうした海の変化への漁業者の対応として、ノリ養殖では高水温に強い品種の使用や、ノリが魚に食べられないよう防除する網の設置などが行なわれている。一方、漁船漁業の漁業者からも、海の変化を実感する声を聞いている。漁業者は、増えているマダイやサワラなど大きな魚を漁獲できるよう網目を大きくしたり、イワシ類では限られた資源を有効に利用するため、大きく成長するのを待って漁獲するなど、資源管理に取り組んでいる。
【高橋正子】
2023年は過去最も温かい一年になり、海の温度も記録的に高く、海面上昇が進んだといわれます。このように、地球温暖化の影響がいかに深刻かつ広範囲に及んでいるか浮き彫りとなっている中、本県として、気候変動による水産業への影響にどう対応していくのかうかがう。
【水産課担当課長】
県では、漁業者が漁場環境の変化を的確に把握し、効率的な操業ができるよう、自動観測ブイにより連続観測した水温、塩分などの漁場環境情報や調査船による水産資源の動向をウェブページで迅速に発信するなどの支援を行っている。
ノリ養殖では国の研究機関と連携した、より高水温に強い品種の開発や、効果的な食害対策手法の開発などの研究を行っている。また、漁業協同組合が行なう食害防除網の導入にも支援している。イワシ類を獲る漁業では、効率的な操業を行えるよう、人工衛星のデータを活用した漁場の予測技術の開発に今年度から取り組んでいる。さらに、アサリやカキ、ワカメ養殖の導入による経営の多角化の推進にも取り組んでいる。これら取組により、海洋環境の変動に対応できる安定した漁家経営の実現を目指していく。
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