1. 能登半島地震を教訓に!
災害拠点病院の機能維持について
最悪で32万人以上の死者が出るとされる南海トラフ巨大地震が発生する確率は、30年以内に70~80%と言われてきた。その漠然とした危機感が一転して現実味をおびたのが8月8日の日向灘での地震に伴って気象庁が発表した「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」だった。巨大地震が発生する可能性が比較的高くなっている!との気象庁の発表に、南海トラフ地震の想定震源域の自治体や住民、そして企業は災害リスクや地震への備えを再確認した。
国が2012年に公表した南海トラフ巨大地震の人的被害は、最悪、死者32万3千人と負傷者62万3千人と予測。医療機関への被害も深刻で、最大で入院患者15万人、外来患者14万人の対応が困難となり、震度6強以上の地域の医療機関では断水や停電で6割、それ以外の地域も3割、医療機能がダウンするという。入院患者の5割で転院が必要となるが、道路の被害や交通渋滞で患者の搬送にも支障が出ると仮定している。
本県でも、2014年に南海トラフ巨大地震が発生した場合の死者数を最大で29,000人と推計。特に、地盤が弱い平野部や津波・浸水に見舞われる沿岸部といった県の西部や南部で被害が大きく、液状化で16,000棟、津波・浸水で22,000棟が全壊するとの被害予測は、膨大な被災者の数を想像させる。
1995年の阪神大震災では、被災した病院に多くの負傷者が運ばれたが、十分な治療を受けられずに亡くなった人が多く出たことを教訓に、耐震構造の病院建物を備え、災害医療の中心的役割を果たす「災害拠点病院」が必要だと都道府県による整備が進んだ。現在、その数は全国700か所以上にのぼる。病院が孤立しても、最低3日維持するための自家発電の保有や水や食料、医薬品などの備蓄、人員確保、その他十分な準備の確保が指定要件となり、さらに、医療活動の維持に必要なBCP(事業継続計画)の策定が義務付けられている。
本県でも、令和6年6月現在で38か所が県から「災害拠点病院」の指定を受け、その内、基幹災害拠点病院として、藤田医科大学病院と愛知医科大学病院の2か所を指定している。あとの36か所は県内広域二次救急医療圏ごと、人口20万人に1か所の指定となっている。災害時に最前線で多数の傷病者を待ったなしで受け入れる「災害拠点病院」に求められる役割と機能は大きい一方で、課題もある。そこで、以後、3つの観点から、災害時に災害拠点病院が機能維持するための課題について質問する。
1つめの観点として、ハザード=危険地域に建つ災害拠点病院の現状と減災対策についてうかがう。
南海トラフ巨大地震の被害予測では、県土の多くで液状化現象やあるいは沿岸部では津波・浸水被害が出るとのハザード(危険地域)がある。
そこで、本県保健医療局に本県が指定する災害拠点病院38施設の立地場所について聞いてみると、令和6年度に調査した結果では、津波や浸水地域などの地震や風水害の危険地域に建っている災害拠点病院数は「洪水・雨水出水・高潮」が18施設、「液状化」が15施設、「津波・高潮」が5施設で、約半数の20の災害拠点病院が、地震や津波などの被害が出る危険地域内に建てられていることになる。
2014年、厚労省が全国の災害拠点病院に対し、立地場所についてハザードマップ等における被災想定の実態把握と具体的対策について調査を実施したことがある。10年前のその当時では、全国の災害拠点病院の約3割が「浸水あり」と回答し、具体的対策として排水ポンプや止水板・防潮板の設置、盛土や嵩上げなどの具体的対策の実施が挙げられた。一方で、「浸水対策無し」と答えた病院からは、地域全体において浸水被害が想定されており、病院単独での解決が困難であることが挙げられた。
厚労省は、災害拠点病院単独では解決できない課題について、都道府県を中心に検討をお願いし、ハザードマップ等における被災が想定された災害拠点病院においては具体的対策の検討と実施状況について、今後もフォローアップ調査を行う予定である。適宜状況を把握し、必要な指導をお願いする…と通知している。さらに本年4月1日からは、災害拠点病院指定要件の一部改正で「浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する災害拠点病院は、被災軽減のために止水板や排水ポンプなどの設置による止水・浸水対策を講じること」と指定要件の改正もあったところである。
Q:本県の被災が想定される危険区域に建っている災害拠点病院について、10年前に厚労省の調査もあったように、ハザードを小さくするための具体的対策の検討・実施状況についてうかがう。
【保健医療局長】
10年前の2014年度に実施した調査によると、県内
34の災害拠点病院のうち、ハザードマップにより洪水、液状化、高潮などの危険が示されている区域に所在する病院が22病院あり、そのうち、約5割に当たる12病院が、止水板の設置や、地盤のかさ上げ等の対策を実施している。
一方、今年度実施した調査によると、県内38の災害拠点病院のうち、同じく危険が示されている区域に所在する病院が20病院あり、そのうち、8割を超える17病院が、止水板の設置や、想定浸水域より高い場所への電気設備の移設、排水ポンプの設置などの対策を実施している。
2つ目の観点として、能登半島地震の教訓から、災害拠点病院の機能維持のための取組みについてうかがう。
本年1月1日に、石川県能登地方で発生した「能登半島地震」は、同県の志賀町や輪島市で震度7を観測したほか、能登地方の広い範囲で震度6以上の揺れを観測し、災害発生時に最前線で傷病者の受け入れを担う「災害拠点病院」を窮地に追いやった。これまで大災害を見据えて各医療機関ともBCP(事業継続計画)の策定を進めてきたはずが、能登半島地震では、災害拠点病院の機能維持の難しさが露呈した。自らも大きく被災しながらも医療を止めず、患者の命をつなぐのが災害拠点病院のミッションだ。しかし、道路が寸断されて支援が滞り、被災した看護師など病院スタッフが出勤できず、診療制限を余儀なくされた。被災地支援に当たった各地域の災害派遣医療チーム(DMAT)からは、過去の災害は災害拠点病院のインフラの被災が課題になることはあったが、病院職員が出勤できなかったことが患者受け入れの障壁になった事例はなかったと話す。災害拠点病院には災害で交通がマヒした際に、一定時間に何割の職員が出勤できるかを示す「参集率」を算出してBCP(事業継続計画)における医療体制計画を練るが、今回の能登半島地震で実効性を疑問視する声も挙がっている。
災害拠点病院では、災害後の医療継続のため、人員の確保、医療施設や医療機器等の保全、電気・水・酸素等の確保、体制作り等、十分な準備をしておく必要がある。その実現のためには、地震発生時の事態想定と機能維持のための体制整備が必須であり、医療活動の維持に必要となるBCP(事業継続計画)を策定し、事前の準備をしておかなければならない。そうした意味では、災害拠点病院の要件に義務づけられているBCP(事業継続計画)について、本年1月1日に発災した能登半島地震の教訓を生かさなくてはならないはずだ。
能登半島地震の被害状況を踏まえ、本県内38の災害拠点病院で大規模災害による断水の長期化や感染症患者の急増を想定した新たな訓練(最小限の人数で医療提供体制を維持できるような)で対応力の強化を目指していく必要があると考える。ハード面でも災害拠点病院の要件で耐震構造であることが1丁目一番地である。しかし、本県の災害拠点病院の耐震化は、全38施設中、耐震構造は36施設と、まだ100%ではない。特に、最大震度7を観測した能登半島地震では、建物の揺れを吸収する「免震構造」は医療継続を可能にした、と免震化の有効性が取り上げられたが、免震化は耐震化に比べて費用が高い。あまり普及が進んでおらず、本県でも災害拠点病院で免震構造は15施設だけ。能登半島地震を教訓にし、医療を継続させるには耐震構造ではなく免震構造が望ましい。新聞報道で知った、石川県七尾市の恵寿総合病院は、有事に備えた事業継続計画(BCP)を10年がかりで整え、被災しながらもこれを乗り切った。その成果は、災害医療のモデルケースになるとの呼び声が高い。敷地内の液状化対策と建物の免震構造化とかさ上げなど、最大津波高2.7mに耐えうる病院への再生にも動き出し、電力、井戸水の確保、屋上にヘリポートも設け、医療DXにも注力した。常にBCPを見直し、いつ被災しても実行できる体制をとってきたことが、今回の地震で医療継続に結びついたという。
Q:大規模災害時における災害拠点病院の対応力強化にむけたBCP(事業継続計画)の見直しや新たな訓練の実施が必要だと思う。能登半島地震を教訓に、きたる南海トラフ巨大地震に向けて、本県として医療機能が維持できる災害拠点病院づくりにどのように取り組んでいくのかうかがう。
【保健医療局長】
本年1月に発生した能登半島地震を受けて、7月に県
主催の活動報告会を開催した。被災地支援に従事した医師・看護師・
保健師等から、現地での活動のほか、愛知県内で行った派遣調整や被
災者の受入れなどについて、実施状況と課題を発表してもらった。報
告会は当日オンラインで配信を行ったほか、動画を提供することで、
災害拠点病院と課題の共有を図った。
この報告会では、医療支援の調整を行う際、地域内の関係機関による情報連携が重要であったとの意見があった。こうした能登半島地震の教訓を踏まえ、県は、災害拠点病院や医師会等とともに、地域の医療機関と保健所との連携に重点を置いた訓練を、本年11月に実施する予定。具体的には、医療機関において電源が喪失した場合や、患者を被災していない地域へ搬送する場合を想定し、保健所において情報を集約して、関係機関と対応方針を検討するといった実践的な内容を盛り込んだ訓練を考えている。
また、業務継続計画、いわゆるBCPについては、全ての災害拠点病院で作成し、随時見直しを行っているが、能登半島地震で得られた最新の知見を、今後のBCPの改定や、病院で実施する訓練に反映することなどにより、災害拠点病院の機能強化が図られるよう、県として働きかけていく。
最後に3つめの観点として、8月8日の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されたことで、災害拠点病院はどのように対応したのかうかがう。
2019年に運用が始まった南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表され、注意喚起を呼び掛ける間について
Q:県内38の災害拠点病院の緊急準備対応はどうだったのか、本県では把握しているのか?
【保健医療局長】
本年8月8日に気象庁が、南海トラフ地震臨時情報を発表したことを受けて、県は、災害時に医療チームの派遣等を調整する災害医療コーディネーターとの緊急時の連絡体制について、再確認した。さらに、災害拠点病院を含むすべての病院に対し、大規模災害の発生に備え、改めてBCPの確認をしてもらうよう、8月9日付けで通知している。
また、8月下旬、災害拠点病院を対象に、臨時情報への対応についての調査を行った。病院からは「幹部会議を開催し、大規模災害時の体制の確認を行った」、「水・食料・医薬品や、自家発電設備の燃料の備蓄について確認を行った」などの回答があった。
国は、今回の初の臨時情報で、社会は?自治体は?住民は?そして企業は?どう対応したのか?が南海トラフ巨大地震への対策に反映させると聞いている。臨時情報が出た際の対応の在り方を検討していた災害拠点病院はあったのか?
Q:地震臨時情報をうけ、県内の各災害拠点病院の対応と、見つかった課題について県の見解をうかがう。
【保健医療局長】
課題としては、南海トラフ地震臨時情報が発令された際の対応について、BCPやマニュアルに詳細な定めがなかったことが挙げられた。各災害拠点病院においては、今回明らかになった課題を踏まえ、南海トラフ地震の発生に備えた体制の充実を進めていただいている。県としては、引き続き、災害拠点病院との連携を密にし、大規模災害への備えを進めていく。
【大村知事答弁】
災害拠点病院の機能維持について、私からもお答えする。
本年1月1日に発生した能登半島地震では、被災地の医療体制を支援するため、発災翌日の1月2日から2月20日までの間に、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATを延べ84隊、429名、県内の災害拠点病院より派遣していただいた。
また、ドクターヘリや医療コンテナを活用した支援を行うなど、災害拠点病院には災害医療における中心的な役割を担っていただき、その重要性を再認識する機会となった。
発生が懸念される南海トラフ地震により大きな被害が予測されている本県にあっては、今後とも災害拠点病院と連携して、災害医療提供体制の更なる充実を図り、県民の皆様の安心・安全の確保に努めていく。
2. 消防職員の大型免許取得は自費か?公費か?
本県内消防本部の負担の現状と、今後について
火災や救助現場へ急行するはしご車やポンプ車、救助工作車などの消防車両の運転には、「大型自動車免許」(以下、大型免許)か「中型免許」が必要で、消防車両の運転資格のある21歳以上で、普通免許取得から3年以上の20代若手消防職員は大型免許の取得を迫られることとなる。今、消防職員もベテラン職員から若手職員へと世代交代の時代に入り、第一線で消防車両を走らせるためには大型免許を持つ若手消防職員の確保と育成が急務である。
かつては普通免許で車両総重量8t未満の消防車両を運転できた時代もあったが、度重なる道路交通法の一部改正で「免許の種類と運転可能な車両総重量」は段階的に引き下げられ、平成29年3月12日以降は、消防ポンプ車の主流である車両総重量3.5t以上を運転するには準中型自動車以上の運転免許が必要になった。
さらに近年では、1台の消防車に多くの機能、資機材を積載するために車両の大型化が進み、大型免許を取得すれば大半の消防車両が運転できることから、各消防本部では20代の若手消防職員に大型免許の取得を要請している。大型免許の取得には自動車教習所へ通い、かかる費用は40万~50万円と高額。消防職員は“非番”など自分の時間を利用して30時間の教習を受け、免許取得にこぎつける。自動車教習所の中でも大型免許が取得できる教習所は限られており、免許取得希望者が集中。その中で、消防職員は教習時間の予約をとることから苦労するという。
このように消防職員の大型免許の取得は、お金も時間もかかり、さらに業務上必要不可欠な免許取得でありながらも、取得費用は“自費”が原則。40万~50万円という費用は、20代半ばの消防職員にとっては大きな負担となることは自ずと想像でき、昨年12月には本県一宮市消防本部で、消防自動車の「無免許運転事件」が発覚した。普通免許しか持っていなかった20代の男性消防士が、必要とされる大型免許を取得せず“無免許”で消防車両を運転したというこの事件。無免許の理由は、「大型免許を取得するための自動車教習所の学費40万円が高く教習所に通えず、そのことを上司に言えなかった。上司には大型免許を取得したと偽っていた」と説明した。その消防職員は減給の懲戒処分をうけ、その後、依願退職した。メディアはこぞって「一宮市消防本部の不祥事」だと報じたが、当時、一宮市消防本部では大型免許の取得費用は、消防職員の“自腹”であり、不祥事事件の扱いの側面では、消防職員の大型免許取得の自費の実態を疑問視する声も上がった。その後一宮市では、この事件をうけて一転、2024年4月から消防職員の大型免許取得は「全額公費負担」に方向転換した。公費負担に舵を切った中野一宮市長は記者会見で「今の人手不足の中、タクシーもバスでも免許取得は会社で持つのが当たり前になってきている。果たして自費がどうなのか?」と現状を指摘し、その発言は一般的な意見だと私も同感だった。
では、県内の他の消防本部の大型運転免許取得に係る公費負担の現状はどうなっているのか?県消防保安課にたずねてみると、2024年6月現在で、本県内の34消防本部で、大型免許の取得を全額公費負担しているのは、名古屋市と一宮市のみ。反対に、全額自腹で大型免許を取得しなくてはならないのが岡崎市、西尾市、犬山市、小牧市、岩倉市、田原市、知多南部消防組合、西春日井広域事務組合の8消防本部。残りの24消防本部は一部公費負担で、補助の上限額は市町村の財政状況もあり、各消防本部によってバラバラ。
このように、消防本部を持つ各自治体では、業務上必要な大型免許の取得にかかる費用を全額補助する自治体がある一方、全額自腹や補助があっても雀の涙程度、あるいは費用の半額負担など、バラつきがあることに疑義を覚える。
今は、タクシーやバスドライバーの2種免許やトラックの運転手に必要な大型免許の取得にあたっては、条件付きで会社が手厚く全額負担するのが当たり前の世の中。そんな中で、火災や災害から県民市民の生命と財産を守る消防職員が、緊急で消防車両を走らせるために必要不可欠な大型免許の取得は自費か?公費か?
現在、県内34の消防本部の消防職員の約8割が大型免許を取得していると聞いたが、自分の為の免許というよりも、消防への強い使命感と責任感を持ってこれまでに取得されたのだと思う。
しかしこの先、高額な大型免許取得費用を捻出できない職員がいれば、一宮市消防本部で起きた事件と同じことが再び起きる可能性もあり得る。そこで防災安全局にうかがう。
県消防の役割は、各消防本部の体制強化と円滑に消防業務を実施できるように助言したり、連絡調整する立場だという。
各消防本部は市町村が自らの責任で担っているとはいえ、市町村の消防が十分行われるよう市町村への助言も県消防の役割だ。
今後、消防職員も人手不足の時代に入り、さらに南海トラフ巨大地震も危惧される中で、全消防車両を運転できる大型免許の保有者の確保が望まれる。業務上必要な大型免許取得は高額で、消防職員の負担は大きいと考えている消防本部も多いのではないか。
Q:消防職員の大型免許取得に係る負担が、消防職員の確保に影響を及ぼすようなことがあってはならないと考えるが県の所感を伺う。
【防災安全局長】
消防活動に必要なはしご自動車や救助工作車等を運転するためには、大型免許が必要であり、各消防本部においては、これらの車両の保有状況に応じて、運転ができる職員を確保する必要がある。
職員の免許取得に対する支援制度は、各市町村等が、地域の実情に応じて定めているものである。
免許取得を業務と捉え、市町村が全額を公費で負担しているものや、各職員が勤務外の時間に行う免許取得に対して全額又は一部を公費で補助しているもの、あるいは特段の支援制度を設けていないものまで、県内の消防本部においても様々な対応事例がある。
現時点におきましては、大型免許が必要な車両数に対して、免許を取得している職員の数が、最も少ない消防本部でも、約10倍確保されており、各消防本部が大型車両を運用する上で、特段の支障が生じているとは聞いていない。
一方、少子化の中、一部の消防本部からは、新規採用職員の確保に苦慮していると聞いているところであり、今後、大型免許取得の負担が、職員の確保に影響を及ぼすことも考えられる。
県といたしましては、県内消防本部における大型免許取得に係る様々な対応事例を整理、紹介するとともに、その動向を注視していく。
また、消防本部と協力しながら、大学等への広報や合同就職説明会を実施するなど、各消防本部における消防職員の採用活動を支援していく。
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