1.外国人傷病者の救急搬送と、救急外来の課題について
今、グローバル化の進展により、在留外国人が増加している。本県でも現在、約22万人の外国人県民が暮らし、国籍や民族の違いにかかわらず、すべての県民が安心して暮らせるように多文化共生の推進も積極的に図られている。
一方で、日本を訪れる外国人観光客は4年連続で過去最多を更新し、2016年には2404万人を記録。今後、国は2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までに4000万人の訪日客を目指す。
本県でも世界39都市と結ぶ国際拠点空港「中部国際空港セントレア」を核として「国際観光都市」へと機能整備を進めるとともに、世界各国から本県に外国人観光客を誘客するための観光プロモーションを着々と進めている。
そんな中、こうした訪日外国人の増加で、急な病気やケガなどによる外国人傷病者からの119番通報が増えていることから、救急活動の現場において“言葉の壁”にぶつかり、意思疎通に四苦八苦する現状が問題視されている。外国人傷病者の症状を把握するには救急隊の会話能力にも限界があり、ましてや英語以外に多言語での対応が必要となればお手上げ状態にも。言葉の壁は救急隊に過重な負担をかけていることになる。
救急隊がしばし外国人の救急事例に遭遇することから、各消防本部では「言葉が通じない」壁をクリアするために、それぞれが工夫を凝らして救急搬送にあたっておられると推測される。
Q:本県内の外国人傷病者の救急搬送について、本県の消防本部の取組状況はいかがか?
【防災局長】
日本語での意思疎通が困難であった場合に、傷病者の症状を把握するための取組としては、まず、イラストや文字が書かれたボードや、外国語と日本語が記入されている問診シートを使用するといった方法で対応している消防本部が、県内36消防本部のうち28である。次に、電話通訳センターを介した三者間同時通訳を導入している消防本部が6、また、救急隊に配備されたスマートフォンやタブレット端末を使用して、総務省消防庁が本年度から導入した多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」を運用している消防本部が11ある。
総務省消防庁では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて訪日外国人が増加すれば、さらに外国人からの119番通報も増加し、英語のみならず多言語での対応も迫られることが予想される。そこで、今年1月から多言語での救急搬送に対応できるよう、外国語による119番通報時に“電話通訳センター”を介した三者間同時通訳ができる体制を整備された。現在、都道府県各消防本部での活用を推進している。総務省の発表だと、今年6月末までにこの三者間同時通訳が導入されているのは161の消防本部(率にして22%)で、奈良、和歌山などの5県では県全域で、東京消防庁にもこの7月1日から導入されたときいている。さらに、4月からは全国の消防本部に向けて、救急用のフレーズや傷病者とのやりとりの面で使い勝手のよいスマートホン用多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」の無料提供を開始しておられます。症状に関する質問と回答を英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、ロシア語、ドイツ語など15の多言語でやりとりできるスグレモノとして、消防庁では広く運用の呼びかけをしている。
また、話をした言葉が日本語文字として表記されることで、聴覚障害者などとのコミュニケーションにも活躍が可能である。
消防庁では、外国人による救急搬送を円滑化することで、現場で対応する救急隊員の負担を減らし、傷病者の救命率向上を目指すためにも多言語対応できる「三者間同時通訳」および「救急ボイストラ」の普及を図っていきたい考え。特に「三者間同時通訳」は2020年までに導入率100%を目指し、都道府県を介して各消防本部に多言語対応の推進を図っている。本県でも2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2026年のアジア競技大会などなど、全世界から本県への誘客をもたらすビッグイベントをひかえ、安心して本県に滞在してもらうための行政サービスとして救急業務の整備は必要不可欠なところ。
Q:本県として、県内各消防本部の多言語対応をどのように推進していかれるのか見解をうかがう。
【防災局長】
現状では、ボードや問診シートの活用でも一定の対応ができているが、より的確な症状が把握できる三者間同時通訳や「救急ボイストラ」の導入が進むことが望ましいと考えている。
本県としては、既に導入している消防本部から、運用状況を詳しく聴き取りして、未実施の消防本部に、有益な情報を提供するなどの方法で、救急搬送における多言語対応の推進に取り組んでいく。
さて、厚生労働省では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年までに訪日外国人はさらに増加するので、全国の各医療機関では外国人傷病者に対応しなければならないケースも増えていくことが予想される。
そこで厚生労働省では昨年、まずは現状把握として各地の医療機関に外国人がどの程度訪れているのか、各施設の外国人患者の受け入れ実績を確認するために、救急患者を受け付ける病院など全国3,761の医療機関などを対象に『外国人患者の受け入れ実態調査』を行った。回答を寄せた1,710の医療機関のうち、2015年度に在日外国人や外国人旅行者を患者として受け入れた医療機関は全体の79.7%にあたる1,363か所で、そのうち入院患者として扱ったのは半数以上の58.5%にあたる1,001か所にのぼった。外国人患者を受け入れた医療機関の半数以上は年間20人以下であったが、中には500人超えのところも9.8%あった。そして、回答があった65.3%の医療機関が「日本語でのコミュニケーションが難しい患者がいた」と答え、「医療通訳を利用した経験がある」と答えた医療機関は全体の12.7%にとどまることから、現実的には、外国人患者に通訳できる人を自分で確保するように頼む医療機関が多い。また、医療機関が一番不安視する「医療費の未収」も、全体の35.8%あったこともわかった。
今後、外国人患者による医療機関の利用はますます増加することが予想されるため、医療現場での外国人患者の現状と問題点を明らかにすることは急務である。せめて、外国人患者の受け入れ経験の有無や可能な医療機関数、文化や習慣の違いから医療現場で困惑したことの把握が必要。言葉以外にも文化や生活習慣の違いで困惑する場面に遭遇することもあるようで、「処置中に礼拝の時間だからと中断するよう強く求められた」とか、「肌を見せることが許されない国の人たちは聴診、触診ができず説明しても理解が得られなかった」などが実際に報告され、医療現場の混乱ぶりがうかがえる。その他にも、外国人が安心して医療を受けるために必要な支援や制度など、本県でも外国人患者の救急外来における課題を精査するためにも“本県独自の実態把握”の必要性を感じる。
先の厚生労働省のアンケート調査では、都道府県や政令市など188の自治体のうち、8割以上が外国人患者の受け入れ可能な医療機関などを把握していなかった!という驚きの報告もあった。
Q:本県として、外国人患者の救急外来の受け入れの現状、実態について、どの程度把握しているのか?
【保健医療局長】
県内の22か所の救命救急センターのうち、外国人患者の受入れ人数の統計をとっている13か所の平成28年度の受入れ状況は、合計で7,411人、1施設あたりの平均は570人となっている。最も受入れ数の多い施設は1,710人、最も受入れ数の少ない施設では196人であった。
また、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者の対応については、救命救急センターにおいては、一定の対応をしており、医療通訳の配置や病院の職員による対応が13か所、電話通訳の活用が17か所、音声翻訳アプリケーションの活用が3か所となっている。
一方で、救命救急センター以外の救急医療機関における外国人患者の受入れ実態については、現時点では把握していない。
そこで、今年度中に、救急医療を実施している147の救急告示病院を対象に、外国人患者の受入れ状況や、言語対応の体制などに関する実態調査を実施し、本県を訪れる外国人の方が安心して医療サービスを受けられる体制の整備に活かしていきたい。
本県には約22万人の外国人が在住しておられます。過去に実施した県民意識調査では「外国人の困ったこと」の第1位は「病院でのコミュニケーション」で、カタコトの日本語はわかっても、専門用語が使われる医療の場では言葉も通じず、不安を抱く外国人が少なくないことがわかった。本県には現在、医療サービスを受けられる体制を充実させた医療通訳、外国人向けコーディネーターなどが配置され国際的に高い評価を得た「外国人患者受け入れ医療機関認証制度(JMIP)」の認証病院として、藤田保健衛生大学病院と名古屋共立病院の2病院がある。藤田保健衛生大学病院については、厚生労働省が外国人患者受け入れの拠点病院にも認定し、多言語による医療通訳の育成に、検査内容説明などの各種患者説明文書の多言語対応など、外国人患者受け入れの環境整備はお墨付き。
今後、インバウンド市場はさらに拡大し、外国人の誘客に力を入れる本県でも外国人の姿が多くなることから、各医療機関においても言語や文化、生活習慣の違いなど外国人患者の受け入れが可能な条件を揃える医療機関の整備が求められる。国際的に評価の高いJMIPのような医療機関が増えることが理想だが、単施設で受け入体制を整備していくことは容易なことではない。
せめて、各医療施設が現状で対応可能な外国語を、外国人患者に適切に情報提供していくことで、今後増加する訪日外国人の医療ニーズに愛知県全体で応えていく必要がある。
Q:外国人救急患者に必要な医療を提供するため、外国語に対応できる救急医療機関の情報を提供する体制について、県の見解をうかがいます。
【保健医療局長】
本県では、救急時に県民の皆様が受診可能な医療機関を探すことができるウェブサイト、「あいち救急医療ガイド」を、愛知県医師会への委託により運営している。「あいち救急医療ガイド」では、「外国語対応可能な病院、診療所」として、英語、中国語、ポルトガル語など、13の言語への医療機関の対応状況を日本語及び英語で提供しており、平成28年度は、8,784件のアクセスがあった。
今後は、利便性の向上を図るため、英語以外の外国語によるウェブサイトの作成について、検討を進めていく。
また、本県を訪れる外国人観光客向けの情報といたしましては、愛知の公式観光情報ウェブサイト「Aichi Now」において発信しているところだが、今後は、観光局とも連携し、このサイトを活用して「あいち救急医療ガイド」の周知を図るとともに、宿泊施設に対して、救急医療機関の外国語対応状況に関する情報を提供していく。
さらに、消防機関に対しても、同様の情報を提供することで、外国人救急患者の円滑な搬送にも役立ててまいりたいと考えている。県としては、こうした取組を進めることで、外国人の方が安心して必要な医療を受けられる体制を整備していく。
2.愛知の「女性の活躍」は進んだのか?
~女性活躍促進施策の検証と今後の取組について~
平成25年6月、国の成長戦略の中核に「女性の活躍」が位置づけられたと言っても、真に女性の人材やチカラをフルに活かすには、クリアしなければならないハードルがいくつもある。
とかく本県は、従来から性別による固定的役割分担意識が強く、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」の考えに「賛成」の人の割合が全国平均よりも高い傾向にあることから、働く女性の占める割合も、女性管理職の登用も全国平均に比べて低い結果となっている。製造業を中心とする豊かな産業県ゆえに働く男性が多く、安定した生活環境が維持できてきたことが「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」の古典的な考えをつくってきたようだ。しかし本県でも人口減少の影が忍び寄り、労働力不足が課題となる中で、女性の労働力は今後、期待されるチカラとなる。ところが本県は、女性の社会進出に理解があるとは言い難い土地柄。そこで、どこかで男女共同参画社会の実現に向けて風穴を開ける必要があったのを、平成25年7月に本県初の女性副知事に就任した厚生労働省出身の吉本明子氏がその先頭に立ったと振り返る。
本県初の女性副知事という斬新さは、女性の活躍促進に足踏み状態だった本県に大きな変革をもたらし、まずは県職員の女性管理職の登用拡大に意欲を示した。平成25年4月の知事部局の管理職に占める女性の割合は6.7%で78人だったのを、直近の平成29年4月には9.7%、117人にまで押し上げ、管理職全体の約1割が女性の登用となった現在、愛知県庁に吹く風は変わったのではないかと感じる。
Q:女性管理職の比率は活躍促進のバロメーターとして企画立案などを担う女性管理職の拡大は、県庁にどのような変化、効果をもたらしたのか?
【人事局長】
本県では、従来から、男女の区別なく、政策形成能力や管理能力を総合的に評価し、相応しい人物を管理職へ登用してきたが、平成26年2月には「女性職員の活躍促進に向けた取組指針」を策定し、平成32年度末までに知事部局等における管理職に占める女性の割合を10%にするという数値目標を掲げ、女性職員の登用を進めている。
こうした中、事務職の女性職員を初めて本庁の部長に登用したほか、次長、主管課長など、これまで女性が配置されてこなかった主要ポストへの女性登用を一層進めており、政策立案の過程において、これまで以上に多様な視点からの提案がなされる機会が増えていると考えいる。
また、自ら国の省庁や民間企業への研修派遣などに手を挙げて挑戦するといった意欲的な女性職員が増えてきており、こうした傾向は、管理職に登用されて活躍する先輩女性職員がロールモデルとなることで、キャリアに対する意識改革が進んできた結果の一つの表れではないかと考えている。
さらに、勤務成績が優秀で意欲と能力を有する女性職員を、積極的にグループ班長に登用して、管理職に必要な能力の養成を行っているが、部下の職員からは、きめ細やかで丁寧な指導を受けられるとか、業務の効率化に積極的で働きやすいといった声も聞いている。
「日本一元気な愛知」、「人が輝くあいち」を目指した取組を進めていくためには、多様な視点を取り入れることが大変重要であり、今後も、引き続き、女性職員を管理職など責任あるポストへ積極的に登用していく。
その後、本県の女性活躍施策はスピードをあげ、平成25年9月に各部局で女性活躍促進に向けての課題を洗い出して「女性が元気に働き続けられる愛知」の実現を目指した「あいち女性の活躍促進プロジェクトチーム」を庁内に設置された。吉本副知事をリーダーに、働く場における「定着」と「活躍」の場の拡大に向けた様々な取組を「あいち女性の活躍促進プロジェクト」として推進。現在では47事業を展開中。
さらに同プロジェクトの一環として、平成26年夏に県内の11000社を対象に、職場での女性の活躍について現状と認識をアンケート調査した「女性の活躍『見える化』調査」は、本県の女性活躍の実態を浮き彫りにした。アンケートの項目で、「女性の活躍が今後の経営戦略の鍵を握る」という考え方に共感する企業が7割強あった反面で、「女性の活躍推進のために何も取り組んでいない」と答えた企業は4割弱と、最多。さらに、製造業では管理職に占める割合がゼロの企業が8割、中でも「女性が担当できる仕事が限られている」と消極的な回答は3割近くを占め、女性の能力が発揮できない現状を露呈した。
しかし、このアンケートの回答で最も注目したいのは、女性の管理職や従業員が増えている企業ほど売上高や経常利益が伸びているケースが多く、それは製造業に限っても同様である…という結果。本県の製造業の99%を占める中小企業に女性の雇用や管理職登用を促すことこそが、本県の産業・経済を元気に持続させる特効薬であることを証明している。そうなると、女子力を当地で活かすためには、アンケートの課題にあった「女性が担当できる仕事が限られている」との現状を改善していかなければならない。確かに本県では、20~24歳の若い女性は魅力的な仕事を求めて東京圏へと流出する傾向が強い。その結果、県内の20~34歳の男性に比べた女性の人口割合は男性を100とした場合、女性は89.0で男性より1割以上も少ないことになる。この若い世代の男性過多の現象は、しいては男性の未婚率の上昇と少子化にもつながることから、本県では、若い女性の流出に歯止めをかけるために「愛知県の住みやすさをアピール」したり「女性の就業の場を広げる事業」を積極的に展開している。
特に平成27年度には、女性の活躍と雇用の拡大を通じた人材の確保・育成、生産性向上、新たな産業の創出を目的に、幅広い業種企業の人事担当者、女性起業家、女性管理職をメンバーとする「あいち・ウーマノミクス研究会」を設置。この研究会での意見を踏まえ、女子学生・生徒とモノづくり現場で活躍する「モノづくり女子」が交流する機会づくりや女性の起業家を育成する取組を進め、ややもすれば「女性が活躍する職場が限られている」といったイメージがある製造業を始め、幅広い業種における女性の活躍促進に注力してきたと認識している。
また現在では、女性の活躍促進には気運の醸成が重要だとし、女性の活躍に取り組む企業を一社でも多くつくろうと、「あいち女性輝きカンパニー」の認証や優良企業表彰を行っておられますことも承知している。男性中心で、女性の活躍推進が進んでいない建設業界では、総合評価落札方式の入札で女性の活躍推進に積極的な建設業者を優遇する取組もスタートした。このほかにも中小企業への取組に対する奨励金・最大10万円の支給やコーディネーターによる企業の取組の支援のほか、今年度は地方銀行と連携した中小企業等へ県の女性活躍促進プロジェクトの普及活動にも力を入れるなど、本県の課題とされる中小企業への支援にも一層の取組を推進。
これまで、製造業が盛んなゆえの課題や固定的役割分担意識の強い古典的地域性が働く女性の占める割合も、女性管理職の登用も、全国平均に比べて低いと評価されてきた本県にあって、「あいち女性の活躍促進プロジェクト」を立ち上げて丸4年。節目の5年目に入る前に、ここでこれまでの取組みの成果を検証する必要性を感じる。というのも、本県では女性管理職の登用を民間企業にも促すために「女性管理職養成セミナー」を平成24年からスタート。この5年間で193の団体から266人の管理職を目指す受講者があった。この中には中小企業51社から61人の受講者も含まれている。では、本県でも女性管理職養成セミナーを長年開催してきた結果、女性管理職の登用拡大が県全体に波及しているのだろうか…。
去る8月末の新聞で気になる記事を発見。帝国データバンク名古屋支店が愛知県に本社をおく1441社を対象に「愛知県の企業の女性活用に関するアンケート調査」を実施し、597社から回答を得た結果。それによると、愛知の企業の82.4%で女性管理職の比率が1割に満たず、全国平均の79.3%を上回った。さらに、「従業員全体の女性割合が30%以上」とする企業も本県は28%と全国平均29.8%を下回り、女性管理職の割合が5年前よりも増えた企業は20.3%、「今後増加する」の回答は23.6%で、全国の24%よりもやや低い数字がでていた。結論をいうと、「愛知の企業の女性登用進まず」…の見出しが目に飛び込んできた。同じく帝国データバンクの2017年の調査からでも、愛知県内の女性社長の占める割合は5.96%で全国44位。製造業が集積していることで他地域よりも社長になりにくい環境にあることも指摘されている。
Q:本県では「あいち女性の活躍促進プロジェクト」において、本県の特性と課題を踏まえた多岐にわたる事業を展開中であるが、主要事業の進捗と成果の検証、課題の精査を踏まえ、愛知の女性の活躍は進んだのか?
【県民生活部長】
本県の更なる発展のためには、女性の活躍が不可欠であるとの認識のもと、「あいち女性の活躍促進プロジェクト」では、企業経営者の意識改革のための「あいち女性の活躍促進サミット」の開催や、地方銀行と連携した中小企業への働きかけ、女性起業家育成のためのビジネスプランコンテストの実施など、全庁を挙げて各種施策を推進してきた。
プロジェクト事業につきましては、所管部局において、成果の検証、課題の洗い出しを行うとともに、副知事をリーダーとするプロジェクトチームにおいて、事業の進捗管理や情報共有を行い、毎年度、新たな事業を企画・立案して、取組を進めている。
その結果、企業トップからのメッセージや取組を表明する「女性の活躍促進宣言」は、平成32年度末までの目標1,000社に対し、8月末現在で935社となっており、年内の目標達成が見込まれる。
また、積極的な取組を県が認証する「あいち女性輝きカンパニー」は、平成32年度末までの目標400社に対し、8月末現在で301社となるなど、本県の女性の活躍は、進みつつあると考えている。
かし、更なる女性の活躍のためには、引き続き、県内企業の99%以上を占める中小企業へのきめ細かな対応や、ワーク・ライフ・バランスの一層の推進などが必要と考え、今後も一つ一つの事業を丁寧に検証しながら、しっかりと取り組んでいく。
さて、この7月に本県では三代続けての女性副知事、このほど宮本悦子副知事が就任された。振り返れば、初代女性副知事の吉本明子氏は県庁内での女性管理職の登用拡大や、女性の社会進出に必要な支援を進めやすくするために庁内にプロジェクトチームを設置するなど女性活躍の土台作りをされてこられた。そして2015年7月に就任の二代目・堀井奈津子副知事は、中小企業での女性の活躍促進や建設業や運輸など、男性の多い職場でも女性が働きやすい環境づくりを進め、女性の参入を促す取組や理系女子の進路選択の支援、女性の活躍に取組む企業に対しての認証や優良企業表彰に取組んでこられた。また本県は全国でも有数の農業県であることから、農業分野でも女性の活躍を推し進めてこられたことも印象に残っている。そこで、宮本悦子副知事にお尋ねする。
Q:宮本悦子副知事に女性活躍促進のバトンが渡され、その手腕に期待したい。宮本副知事は本県の女性活躍の現状を見たうえで、今後どのように進めていこうとお考えか?
【宮本副知事】 本県では、平成25年9月に、部局横断の「女性の活躍促進プロジェクトチーム」を設置しまして、全国に先駆けて、様々な先進的な事業を推進してきた。
その結果、「女性の活躍促進宣言」や「あいち女性輝きカンパニー」の認証が着実に増加し、また、直近の国勢調査に基づく分析によると、本県の女性労働力率を示すM字カーブも、徐々に改善されつつある。
しかし、女性の活躍の実現に向けては、男性も含めた働き方改革や子育て環境の改善など様々な課題があり、行政、企業、個人など、あらゆる主体が一体となって、社会全体を変えていく必要がある。
私は、プロジェクトチームの責任者として、吉本元副知事、堀井前副知事が取り組んでこられた成果をしっかりと受け取り、その上で、企業経営者の方々への働きかけ、ワーク・ライフ・バランスの推進、保育サービスの充実などを一層進めるともに、若年女性の東京圏への転出超過などの新たな課題にも挑戦し、プロジェクトの更なる深化・充実を図っていきたい。
愛知県は、製造品出荷額等が39年連続日本一のモノづくり県であると同時に、中部地区最大の農業県でもあり、知事のリーダーシップのもと、先進的な事業が意欲的に進められており、総合力が非常に高いとともに、勢いのある県だと感じている。
今後、多くの現場に出向き、若い女性や中小企業経営者などから、愛知の現状や課題、解決への糸口につながる意見を直接きき、そして議員の皆様の指導も賜りながら、「女性が元気に働き続けられる愛知」の実現に向け、しっかりと取り組んでいく。
|