県議会報告

平成28年3月8日、2月議会本会議「議案質疑」で、
『自殺対策』について質問しました。

 自殺対策を国や自治体の責務と定めた「改正自殺対策基本法」が4月1日の施行に向け、現在、国会で審議されている。今まで国だけに義務付けられていた自殺を未然に防ぐための行動計画を、今度は全ての都道府県と市町村にも策定を義務付けるというもの。このことで自殺対策は、国主導から地域主導へと大きく転換されることになる。

わが国の自殺問題は、平成9年に大手金融機関が相次いで破たんしたことが引きがねとなり、景気の悪化で失業者の増加とともに自殺者が急増。以後14年間、国内の自殺者は年間3万人を超え、人口10万人当たりの自殺者数は先進7か国で最悪の水準に。世界屈指の経済大国・日本は、同時に世界屈指の“自殺大国・日本”になってしまった。

 この緊急事態に動きがあったのが平成18年、議員立法での「自殺対策基本法」の成立。それまで“個人の問題”とされていた自殺を“社会の問題”として捉え、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」に向けた国の対策が動き始めた。それまで14年間連続3万人を記録していた自殺者は、平成24年には3万人を割り込み、平成26年には25,427人に減少するなど、自殺者数が急増した平成10年以降、最少になった。しかしそんな中、若者の自殺は依然として深刻で、自殺対策白書によると平成25年は15歳〜39歳の死因のトップが自殺、20代前半では死因の5割を超えているとの危機的状況が続いている。

 本県の平成26年の自殺者状況をみると、平成9年に1,115人だったのが、翌10年には一気に1,579人と跳ね上がり、以後、平成25年までの16年間、1,500人前後の高止まりで推移。

 しかし今、自殺者は全国的に減少傾向にあり、本県でも平成26年には1,395人にまで減少しているものの、順位は全国47都道府県中、多い方から3位。ちなみに1位は東京都、2位は神奈川県だった。また、人口10万人当たりの自殺者数を表す自殺率でみると、本県は高い方から39位。こちらの1位は山梨県(富士山のすそ野に広がる青木が原樹海を抱えるためだそう…)そして、最も低いのは大阪府となっている。原因・動機別では「健康問題」が751人で圧倒的に多く、次いで「経済・生活問題」が245人、「家庭問題」が193人と続く。年齢別では40歳代が260人と最も多く、次いで60歳代が237人、50歳代が199人となっており、20歳以上ではどの年代でも減少。しかし、20歳未満では前年と比べて6人増加の37人が未来ある命を自ら絶ったことは残念でならない。

 さて、「改正自殺対策基本法」は、@すべての都道府県と市区町村に自殺対策計画の策定を義務付けること、A国や自治体が学校などで相談体制を整備し、教員らへの研修の機会を設定することともに、B学校は保護者や地域住民と連携し、児童・生徒への「SOSの出し方」などに関する教育や啓発を推進していくこと…などがポイント。

 自殺は、特別な人でも、特別な理由でもなく、誰もが遭遇するかもしれない病気の悩みや生活苦、過労、精神疾患や人間関係の悩みなど、身近にある日常的な問題がきかっけとなって死に追い込まれた結果である。自殺を防止するために大切なのは、自殺の兆候を見落とさない「気づき」と、阻害要因の内容に応じて相談できる支援先に「つなぐ」仕組みづくり。

 本県では現在、平成25年3月に国の自殺総合対策大綱を踏まえて策定した「あいち自殺対策総合計画」に沿って平成28年度までの計画期間で取組を進めている。就学期から青年期、壮年期、高齢期のライフステージ別の対策に、精神疾患者や自殺未遂者などの自殺ハイリスク者への対策、相談体制・相談窓口の周知、自殺予防のためのゲートキーパーの養成など、「気づきと見守りにより生きやすい社会の実現」を目指して実践的に計画を進めてきた。28年度で計画実施期間も残り一年となり、次期策定に着手すべき時にも来ている。

 

Q: 「改正自殺対策基本法」と、本県の自殺の現状をうけて、次期「あいち自殺対策総合計画」の策定をどのように進めていかれるのか? 

 

保健医療局長:

 現在の県計画は、平成28年度までを計画期間としており、来年度中に、平成29年度からの5年間を計画期間とする、次期計画を策定する。次期計画では、自殺対策基本法や国の自殺総合対策大綱の改正内容を反映するとともに、自殺者が全体としては減少傾向にある中で、20歳未満の自殺者が減少していない本県の現状を踏まえ、若い世代の自殺予防対策を強化してまいりたいと考える。
 現在、県では現計画に基づき、電話やEメール等による相談や、悩んでいる人に気づき必要に応じて相談機関等へつなぐ役割を担う「ゲートキーパー」の養成、自殺未遂者に対する医療、保健、福祉関係機関の連携による支援などに取り組んでいるところ。
 次期計画には、これまでの取組を評価・検証し、その結果、明らかになった課題に対応した取組も加えていく必要がある。 県としては、有識者や関係者からなる自殺対策推進協議会において、幅広く意見を伺いながら検討を進め、自殺者を一人でも減らすことができる、実効性のある対策を盛り込んだ計画を、策定していきたい。

 

Q: 「自殺対策」については、各市町村での取組みについても温度差があると推察しますが現状はどうか?また、改正法では自殺対策の総合計画の策定を義務付けることになるが、今後各市町村への計画策定への支援をどのように進めていくのか? 

 

保健医療局長:

 平成27年度に県の補助金を活用して、自殺予防の普及啓発や相談事業等の自殺対策に取り組んでいるのは、50市町村で、来年度は1か所増える予定であり、対策の普及、定着が進んでいるものと認識している。
 また、平成27年4月末時点で自殺対策を健康づくりの計画などに位置付けているのは、18市町。県としては、市町村が地域の実情に応じた自殺対策を総合的かつ計画的に推進する上で、早期に計画策定に取り組むことが重要であると考えている。
 そのため、平成28年度は、県計画の検討状況を随時、市町村に情報提供するとともに、新たに、県精神保健福祉センターにおいて、市町村職員を対象に、自殺に関する統計データの分析方法の講義や、先進的な取組事例の紹介などを内容とした、市町村計画策定を進めるための研修会を開催する。こうした取組を通じて、市町村が円滑に自殺対策計画を策定できるよう、支援していく。
 県としては、今後とも「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指して、市町村と連携し、自殺対策にしっかりと取り組んでいく。
 最後に、若年者の自殺は大きな社会問題であり、対策の強化は喫緊の課題であることから、本県の若年層の自殺対策についてもうかがう。本県の平成26年の自殺状況では、20歳以上ではどの年代でも自殺者数は減少したのに、19歳以下においては前年と比べて6人増加し37人だった。そのうちの16人が「学校問題」が原因とされ最も多い状況となっている。
 改正自殺対策基本法では、若年層の自殺対策を強化し、国と自治体が学校などでの相談体制を整え、教員らへの研修の機会を確保することとしている。また、学校が保護者や地域住民と連携し、児童や生徒らへの教育や啓発に取り組むことも規定するとともに、いじめや悩みを一人で抱え込まないよう「SOSの出し方」などを教えることも盛り込んでいる。
 県教育委員会が実施する24時間体制で子どもや保護者から受け付けている電話相談「子どもSOSほっとライン24」やNPO法人が運営する「チャイルドライン」などが、いじめや進学、家庭、交友関係などに悩み、助けを求めてダイヤルしてくる子どもたちのゲートキーパーを務めている。
 また、自殺に追い詰められた子供の多くは親や教師ではなく同世代の友人にその気持ちを打ち明けることが多い、との指摘から県教育委員会では今年1月に中学生と高校生向けとしては初めて“気づいて 寄り添い つながる いのち”と銘打った自殺予防啓発リーフレットを発行した。自殺はその多くが防ぐことのできる社会的な問題であり、効果的な取組が迫られる。そこで教育長にうかがう。

 

Q: 「改正自殺対策基本法」をうけ、本県として次世代を担う子供たちが自殺に追い込まれない対策について、今後の取組をうかがう。 

 

教育長:

 県教育委員会では、今年1月に、中学生・高校生の自殺対策として、自殺予防啓発リーフレットを作成し、ホームページに掲載するとともに、独自に対策を行っている名古屋市立を除く県内すべての中学生、高校生に配付したところである。
 リーフレットは、直接生徒を対象とした初めてのもので、「生徒に自分自身や友人の心の危機に気付くこと」、「他者に援助を求めることの大切さ」を無理なく伝える内容となっている。
 また、すべての中学校、高等学校の管理職又は生徒指導担当者等を対象として研修会を開催し、リーフレットの活用にとどまらず、改正法の趣旨を踏まえた自殺予防教育の重要性や授業の指導例について、理解を深めていただいたところである。
 今後、各学校での自殺予防教育の取組状況を調査し、効果的な実践例については、教員研修の機会を捉えて周知していく。
 また、子供の自殺予防には、保護者や地域の関係機関との連携も重要である。各学校において、保護者会やPTA研修会等の機会に、自殺予防教育に対する理解や協力を求めるとともに、医療機関や相談機関等、地域の関係機関と協力し、自殺予防教育を一層推進するよう指導してまいりたい。