県議会報告

平成26年3月6日、愛知県議会2月定例会「議案質疑」で
 自主財源確保策としての「ネーミングライツの積極的な導入」について質問しました。

 景気が回復基調の中で、本県の2014年度の税収は6年ぶりに1兆円を超えるとの明るいニュースの一方で、県債残高は過去最高の5兆3000億円に達し、平成26年度当初予算は財源不足を補いながらの依然として厳しい財政状況の中での編成であった。累次にわたる行革大綱の元で継続的に行財政改革に取組み、成果もあがってきてはいるものの、高齢社会に起因する義務的予算の増大が慢性的な「財源不足」につながっている。こうなると歳出削減はもちろんのこと、安定的な歳入確保が求められ、どの自治体も自主財源の確保対策を行財政改革の一本の柱としてその取組を加速させている。

 本県では、平成23年12月に策定した「行革大綱に係る重点改革プログラム」において、これまで県の直営としてきた分野について活性化に向けての一層の工夫を凝らすと共に、民間に委ねるべき業務は民間に委ねるなど、民間の知恵やノウハウの導入による活性化を促進。その深掘りの視点として“民間活力の導入拡大”で位置づけられた「ネーミングライツの積極的な導入」は、公共施設の名称を企業などに売却して資金を得る “民間資金活用策”として全国の自治体でも広がっている。

 「ネーミングライツ」とは、所有権はそのままに、企業名や商品ブランド名などを冠した愛称を命名する権利を譲渡するもので、1970年代にアメリカのプロフットボール界で生まれ、日本では東京都調布市の「東京スタジアム」が平成15年3月1日から「味の素スタジアム」に変更されたのが第1号。身近なところでは、名古屋市南区の名古屋市総合体育館が「日本ガイシスポーツプラザ」に、名古屋市熱田区金山の名古屋市民会館が「日本特殊陶業市民会館」にネーミングライツ=命名権=が譲渡されていることは周知されているかと思う。
 ネーミングライツの目的は、自治体が公共施設の命名権を企業に付与することにより得た対価を、施設の維持管理や補修費に充当して安定的な管理運営を行なうための財源としたいこと。一方、ネーミングライツパートナーとなる企業側は、施設に企業名や商品名などの愛称を表示することにより、企業を幅広くPRすることができると同時に、公共施設等への経済的支援を通じた社会貢献を行なうことになるので、CSR=企業の社会的責任が高まるとの狙いもある。
 ネーミングライツはまさに新しい広告概念であり、近年ではネーミングライツの売却もスポーツ・文化の大規模集客施設にとどまらず、街の歩道橋や道路、自治体の事業などにも拡大し、ネーミングライツ市場への参入の多様化が図られている。
 本県のネーミングライツ導入への取組としては、第五次行革大綱の計画期間である平成26年度までに順次導入・公募を進めてきたところであり、手始めに行ったのが県道にかかる歩道橋の命名権の売却。平成24年度から県管理の歩道橋約400か所の内、最近、設置・再塗装した60か所について公募をスタート。ネーミングライツ料は1か所あたり年20万円以上で、契約期間は3年以上。命名権料は歩道橋の維持管理に充てられる。
 現在の売却状況は、初年度の24年度は歩道橋60か所の内、7か所で。2年目となる25年度は新たに3か所が売却でき、県道60か所の内、現在は10か所でネーミングライツを導入。合計で年額218万7250円のネーミングライツ料が税外歳入となる。
 以後、本県のネーミングライツ導入2例目には尾張旭市の「森林公園ゴルフ場」が。同ゴルフ場の指定管理者である森林公園ゴルフ場運営株式会社の構成法人である株式会社ウッドフレンズが取得し、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの3年間の契約です。愛称は「ウッドフレンズ森林公園ゴルフ場」となり、年間300万円のネーミングライツ料は、森林公園の施設整備に役立てられる。
 そして3例目は、平成26年4月1日から3年間の契約で、蒲郡市にある「海陽ヨットハーバー」に導入。パートナー企業は株式会社豊田自動織機に決まり、「豊田自動織機海陽ヨットハーバー」のネーミングライツ料は年間270万円で、施設の修繕などに役立てられることになっている。
 以上、これら3例が生み出すネーミングライツ料は、平成26年の歳入見込額788万7000円となり、公共施設の維持管理費などをまかなう「新たな財源確保」となる。ネーミングライツの導入は「民間活力の導入拡大」を視点に深掘りする重点改革項目46のうちの1項目。しかも“積極的な導入”とされているからには本県の本気度がうかがい知れる。本県のネーミングライツ導入の歴史はまだ浅く、先駆的に取組んでいる自治体からはいくつかの課題も聞かれる。

Q: そこでまず「ネーミングライツ導入」を重点改革項目に“積極的な”との一文を添えて挙げた理由と、ネーミングライツ制度への期待についてうかがう。


総務部長答弁:

 ネーミングライツについては、県が持っている資産を有効に活用し、施設の整備維持等の財源を確保することができる有効な取組とされる一方で、県有施設に企業名をつけることへの抵抗感などのデメリットを指摘する御意見もあり、本県においては導入事例がなかった。このような中、全国の都道府県の約半数にネーミングライツが導入されるなど、一般的な理解が進み、財源確保策としての効果も明らかになってきたので、平成23年度に第五次行革大綱を深掘りする「重点改革プログラム」に位置付け、「愛知県ネーミングライツ導入ガイドライン」を策定し、取組を具体化、加速していくこととした。そうした当時の検討姿勢が、項目名の「積極的な」という表現に表れたものと考えている。
 今後も、順次導入を拡大し、さらなる財源確保に努めてまいりたい。


Q: 先駆的にネーミングライツに取組んでいる自治体からはいくつかの課題も聞かれるが、1つは短期間の契約期間なので名称が次々と変わっていく可能性もあり、施設利用者の混乱や施設に対する愛着が薄れる指摘。そしてもう1つは、対象施設の選定。施設の性質や設置目的などからどのような施設にネーミングライツの導入を検討すべきか。本県では、ネーミングライツの制度設計や募集方法を定めた「ネーミングライツ導入ガイドライン」に基づき、各施設への導入の検討を進めているわけだが、今後、さらに積極的に導入していく上で、本県として、ネーミングライツ制度の課題をどのように認識しているのか。さらには課題を検証し、解消に向けてどのように取組んでいくのかうかがう。


総務部長答弁:
名称が次から次に変わることで利用者の混乱を招く懸念や、ふさわしい対象施設の選定といった、制度自体の課題に対しては、平成23年9月に策定した「愛知県ネーミングライツ導入ガイドライン」でその対応を定めている。
 具体的には、契約期間については、施設の名称が次々に変わることのないようにとの配慮から、原則として3年以上確保するとともに、契約満了時には継続交渉をまず優先させることとしている。また、施設については、既に公募により県民の方々に愛称をつけていただいたものや県の庁舎などは、ネーミングライツにふさわしくないとして基本的に対象外としている。
 さらに、この制度を運用し、導入を進める中で明らかになった課題としては、企業の広告宣伝費の削減により、市場環境が厳しくなっていることが挙げられる。
 その対応としては、市場のニーズに即した適切なネーミングライツ料を設定することはもちろんのこと、今後は、よりきめ細かく、歩道橋や海陽ヨットハーバーの募集の際に聞いた意見、要望を参考に、企業の皆様が、より応募しやすい募集方法を検討する必要があると考えている。
 例えば、歩道橋については、今までは比較的状態のいい歩道橋を選んで受け付けていたが、それ以外の自社の近隣の歩道橋に名前を付けたいとの意見があった。2度の公募を通じてこうした改善点が明らかになってきたので、更に多くの方々に応募いただけるよう、次回の公募に向けて募集方法の見直しを検討していきたい。


Q: 最後に、歩道橋、森林公園ゴルフ場、そして海陽ヨットハーバーに次ぐ、第4、第5のネーミングライツの導入についてもスピード感をもって進められると推察する。愛知県武道館、口論義運動公園、一宮総合運動場の3施設については導入可能性調査結果を踏まえ、導入への調整を進めているとのこと。そこで、今後の導入計画についてうかがう。


総務部長答弁:
 ネーミングライツの導入拡大に向けては、専門業者を活用しながら、導入に関する障害の有無や市場価値を考慮したネーミングライツ料の金額を調査するなど、拡大に向けて取り組んでいる。具体的には、愛知県武道館など、多くの県民の皆様に利用していただいているスポーツ・レクリエーション施設については、企業の関心も高いと思われるので、導入に向けて、現在、鋭意検討を進めているところである。今後も、施設所管部局としっかり調整しながら、導入施設の拡大を図っていく。