県議会報告

■ 平成23年2月定例県議会 議案質疑

長期未解決事件の解決に向けた特命捜査係の新設について

 愛知県警は2011年度当初予算案で警察官52人を増員するための人件費、9,555万円を計上。殺人や強盗などの凶悪事件を捜査する捜査一課内に、長期未解決事件=いわゆる“コールドケース”を専門とする「特命捜査係」をこの4月1日から新設し、迷宮入りとなっている凶悪事件の解決に向けて専従の捜査員21人を配属して未解決事件の洗い直しに着手することになった。
 今、時効をめぐる制度が大きく変わり、殺人罪などの公訴時効を廃止・延長する改正刑事訴訟法が昨年4月に施行。警察庁も同じ年の8月に、未解決事件の捜査体制強化のための“専従班”を全国の都道府県警に設置するよう通達。これで全国各地の迷宮入り未解決事件が、解決の糸口に大きく始動することになる。

 愛知県警捜査一課に新たに設置する捜査チーム「特命捜査係」は、未解決事件や失踪した人が事件に巻き込まれた疑いがあるケースについて専門に捜査を行なう。愛知県警に聞くと、捜査本部が設置された本県の重大事件の約9割が1年以内に解決しているものの、捜査員の必死の捜査活動にもかかわらず、結果を残せなかった未解決事件は全体の1割程度あるそう。今回、特命捜査に該当する未解決凶悪事件は、平成7年以降に発生した32件。

【質問】

 4月から特命捜査係はこの困難を極める32事件に向き合うこととなる。凶悪未解決事件の記憶を呼び戻すためにも、32件の主な事件名とその概要等についてお尋ねする。さらに、未解決事件は風化を防ぐための取り組みが一番の課題であると思う。警察庁では2007年に捜査特別報奨金制度を導入し、未解決事件の情報提供の増加に期待を寄せている。本県でも県警ホームページに「懸賞金制度」を活用した事件解決に向けた情報提供も行なっているが、そのシステムと該当事件への情報提供など効果のほどはいかがか?

【警察本部長答弁】

 議員のお示しのとおり、平成7年以降に発生した捜査第一課を主管とする特別捜査本部又は捜査本部設置事件で、現在もなお未解決のものは32事件ある。
 この中には、例えば、平成20年5月に豊田市生駒町地内において発生した女子高校生被害の強盗殺人事件、平成21年5月に海部郡蟹江町地内において発生した一家三人が殺傷された強盗殺人事件などがある。
 豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件については、平成20年5月、クラブ活動を終え、自転車で帰宅途中の当時15歳の女子高校生が何者かに殺害された事件で、被害者のショルダーバックが岡崎市内で発見されている。
 また、蟹江町の一家三人殺傷の強盗殺人事件は、平成21年5月、蟹江町の一般民家において、当時57歳の母親と25歳の次男が殺害され、三男が重傷を負った事件である。
 これらの事件については、現在も引き続き専従の捜査体制を維持し、組織捜査を鋭意推進しているところである。
 他方、発生から長時間が経過したことなどの事情から、専従の捜査体制を十分に維持することが困難となっている事件も少なくない。
 本年4月に刑事部捜査第一課に新設する特命捜査係は、長期間にわたり未解決となっている重要事件で、専従の捜査体制を維持することが困難となっている事件の中から対象事件を選定し、これまでの捜査の経緯等を改めて検証するとともに、最新の科学技術の活用等を図るなどして捜査を行うものである。
 なお、特命捜査係が具体的に如何なる事件を担当するかについては、事柄の性格上、お答えを差し控えさせていただく。

 次に、懸賞金制度の概要とその効果についてお答えする。
 警察における懸賞金制度については、警察庁において、平成19年4月から公的懸賞金である捜査特別報奨金制度の運用を開始しているところである。
 捜査特別報奨金は、警察庁が指定する事件に関し、民法第529条及び第532条の規定に基づき、重要凶悪事件の検挙に結び付く有力な情報を提供した者に対して報奨金を支払う旨を広告し、有力な情報を提供した者のうち優等者に対して報奨金を支払うものである。
 報奨金の上限額は、原則として300万円で、特に必要がある場合には、1,000万円を超えない範囲内で増額することができ、応募期間については、原則として1年間で、期間の延長又は短縮をすることができることとなっている。

 当県では、現在、南区鳴浜町地内におけるパチンコ店店員に対する強盗殺人事件、豊田市生駒町地内における女子高校生強盗殺人事件、海部郡蟹江町大字蟹江本町地内における強盗殺人事件の3つの事件が警察庁から指定を受け、捜査特別報奨金制度の対象事件となっている。
 いずれの事件についても、警察庁及び県警ホームページ、ポスター・チラシ、大型街頭ビジョン等の広報活動を通じ、早期解決に向けた情報提供を募集しているところである。
 次に、その効果については、今年2月末までに受理した情報数は、南区の事件が、約30件、豊田の事件が、約290件、蟹江の事件が、約150件と、多数の情報提供をいただいているところであり、いずれの事件も捜査特別報奨金制度による広告を契機とし、情報件数の増加や捜査協力の促進などの効果が得られているものと考えている。

 さて、捜査の基本は、捜査員の粘り強い地道な活動である。発生から1年を経過しても解決できない事件については、捜査本部の看板は残るものの地元警察署員が他の事件捜査と兼務しながら、コツコツ捜査活動を続けているのが実情のよう。殺人などの凶悪意件が発生すると、県警は捜査本部を設置して聞きこみや鑑識活動を徹底し、犯人検挙に向けて証拠収集に全力を傾けるが、昨今言われることは近所付き合いの希薄化など、さまざまな社会状況で聞き込み捜査が難航すること。ここでは、専従班による再捜査、まさに“マンパワー”に加え、DNA鑑定のように近年、急激な進歩を遂げている科学捜査技術を組み合わせての証拠探しに、容疑者が特定できる可能性を増す!と期待が寄せられている。特にDNA鑑定の精度は飛躍的に進歩し、本県では昨年一年間にDNA鑑定は4,109件で5年前の7倍の鑑定率になっているそう。実際、今の科学捜査の技術は想像をはるかに超えるレベルとか・・・

【質問】

科学捜査はどれくらい進歩を遂げているのか2〜3の例でお示しいただけないか?また、科学捜査の進歩によって、新たに得られる手がかりもあると思う。科学捜査をどのように切り札としていくのか?・・・当時の捜査員の“無念”に応えるためにもお尋ねする。

【警察本部長答弁】

 科学捜査の技術についての進歩例を科学捜査の活用についてお答えする。
 科学捜査については、近年の科学技術の著しい進展により、DNA型鑑定や防犯カメラ画像における三次元顔画像識別システム等の個人識別精度が高くなっている。
 一例を挙げると、当県のDNA型鑑定では、平成18年に15種類のSTR型検査法という方法を導入しているが、個人識別制度は、それまでの約1千100万人に1人の出現頻度から約4兆7千億人に1人の出現頻度と飛躍的な識別制度に向上している。加えて、DNA型鑑定を行うための資料採取では、微量かつ古い資料からの検出も可能となっており、犯罪捜査におけるDNA型鑑定の重要性が更に高まってきているところである。このほか、平成17年に被疑者の顔画像と防犯カメラで撮影された顔画像とを照合して個人識別を行う、三次元顔画像識別システムを導入するなど、積極的な科学捜査にも努めているところである。特命捜査係が取り扱う未解決重要事件の捜査においては、過去の捜査活動で得られた証拠の見直しや最新の科学技術の活用による物的証拠の分析を実施して事件当日得られなかった客観的な証拠を見い出し、事件の解決につなげてまいりたいと考えている。

【質問】

 最後に、32件の未解決事件を含め、時効を廃止することで捜査は続行される。そうなると、証拠品は警察が保管することとなり、膨大な証拠品を何年も保管し続けなければならない。今後、事件の増加も考えれば証拠品の保管場所も避けられない問題となると思うが、県警はどのように対処されていくのか?

 あらゆる手段を持っても解決する!この4月から再捜査される未解決事件には、愛知県警の捜査力をもって1件でも多く解決できるよう、エールを送る意味でお尋ねをしておきます。ご答弁宜しくお願いいたします。

【警察本部長答弁】

 公訴時効の廃止等に伴う証拠品の保管・管理の問題については、捜査期間の長期化により押収物の保管負担が増大することが予想されるところである。警察としては、今後、検察庁と協議を行っていくほか、長期にわたり留置する必要がある証拠品については、一括保管できる施設の整備についても検討していきたいと考えている。
 また、昨年4月に改正された刑事訴訟法で、押収物の還付を受けるべき者が所在不明等の事由で還付することができない場合の司法警察員による還付公告が明文化されたことから、必要に応じて同規定による還付公告を実施していくことも検討していく。