愛知県議会議員 高橋正子 一宮市選出 新政あいち 

愛知県議会議員 高橋正子 一宮市選出
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●県議会活動 (本会議での主な質問)

本会議での質問
過去の記事
■平成27年6月23日、愛知県議会6月定例会「一般質問」
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(質問1)子どもの貧困対策「食」への取り組みについて
(質問2)
良好な自転車交通秩序の実現に向けた取組みついて
1.ちゃんとごはんが食べれない
 子どもの貧困対策「食」への取組について


 日本の子供の今を考えた時に見過ごせない数字…16.3%
厚生労働省がまとめた国民生活基礎調査で、所得が標準の半分未満の貧困世帯で暮らす17歳以下の子供の割合を示す「子供の貧困率」で、この10年悪化の一途です。貧困で食べることもままならない、進学もできない…そんな子供たちが恵まれているように見える、今の日本に6人に1人はいるということです。
 こうした子どもの貧困が増えている背景には、母子世帯が増えており働く母親の多くが非正規雇用であること。その年間総収入は200万円以下の低所得世帯が約6割だと言われています。 
 平成24年度の「愛知県ひとり親家庭等実態調査」によると、母子家庭の8割が就業し、その6割が臨時・パート、派遣社員であり、母子家庭全体の平均世帯収入は185万1,000円。母子家庭の8割が「家計が苦しい」と答え、その要因に「子供の教育費がかかる」と答えた人は42.6%で最多です。
 母子世帯の傾向として、収入は生活保護基準を下まわっていますが、さまざまな事情で生活保護を断念。児童扶養手当範囲内で何とか生活しているのが現状のようです。
 支出は教育費がかかる分、「食費」で抑え、一日わずか300円余りでしのぐ生活。子どもにとってちゃんとした食事は一日一回「給食」のみで、成長期に必要な栄養が足りず、夏休みになると痩せていってしまう子どもが現実にいます。
 各自治体では、経済的に苦しい家庭向けに学用品代や修学旅行費、給食費など学校生活でかかる経費を市町村が支援する「就学援助制度」を行っていて、住民税や国民健康保険料を減免されている人や所得が一定水準以下の人が支給対象。例えば、平成25年度に学校給食費を援助した児童生徒数は給食実施児童生徒数63万1,116人の内の59,367人で全体の1割近くにのぼり、近年は6万人前後で推移しています。そこでまずお尋ねいたします。

Q:2015年度から生活保護を受ける状況になる前に、困窮状態から脱っすることを自治体などが支援する「生活困窮者自立支援法」がスタートしました。母子世帯の多くは、さまざまな事情から生活保護を受けないでいる、生活保護対象家庭の一歩手前の世帯です。本県のこうした母子家庭に必要な支援への取組みについてうかがいます。

【健康福祉部長】
 最初に、生活困窮状態にある母子家庭への支援についてお答えします。
 本年4月から施行されました生活困窮者自立支援法は、生活に困窮する人に対して、生活保護受給に至る前の段階で支援を行うことにより、その自立の促進を図るもので、福祉事務所設置自治体において、自立相談支援事業、住居確保給付金支給事業が実施すべき事業として位置付けられております。
 このうち、自立相談支援事業においては、就労その他の自立に関する問題について、生活困窮者からの相談に応じ、一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成するなど、専門の相談支援員が寄り添いながら自立に向けた支援を行っております。
 例えば、生活支援においては、家計の収支バランスを確認し、より収入増が必要と考えられる方については、より収入の多い就労に向けての相談や支援を行うとともに、児童扶養手当などの福祉制度の活用、必要な方には生活保護受給についても助言・支援しております。
 また、母子家庭の方々に対しては、この相談支援員と県内の福祉事務所に配置されております母子・父子自立支援員とが、連携して支援するとともに、経済支援策として、本県独自の遺児手当の支給や医療費の助成を行うほか、生活資金や修学資金の貸付など母子家庭の方々に必要となる様々な支援を実施しているところです。


 日本の子どもの貧困率16.3%は先進国の中でも厳しく、この状況を背景として、経済的に厳しい家庭の子供の教育や生活を支援するための「子供の貧困対策大綱」が平成26年8月に閣議決定されました。子供の将来が生まれ育った家庭や地域に左右されることなく、また貧困が世代を超えて連鎖しないように「環境整備や教育の機会均等を図る」としています。学校をプラットホーム(拠点)とすることで、スクールソーシャルワーカーを増員し、学校と福祉機関や児童相談所などとの連携を強化。教育面での支援が強調された大綱では、奨学金の拡充や児童養護施設などで暮らす子供の学習支援なども打ち出されました。
 本県では、国の大綱を受けて「愛知県子どもの貧困対策推進計画」を本年3月に策定された「あいち はぐみんプラン2015-2019」に盛り込み、貧困対策も子ども・子育てに関する総合計画との位置づけで、まずは「教育の支援」を重点施策に一体的に取り組んでいく方針です。
 推進計画では、学校が拠点となることでスクールソーシャルワーカーが貧困家庭の子供たちを早期の段階で生活支援や福祉制度につなげていく役割を担うことになり、学校内ばかりか家庭の奥深くまで入りこんで行かないとその子どもの貧困の生活事態・環境はつかめません。そこで教育長にうかがいます。

Q:子供の貧困状態を察知し、支援機関につなげる調整役ともいえるスクールソーシャルワーカーの、とりわけ義務教育課程である小中学校への導入について、どのようにお考えでしょうか? 

【教育長】
 議員ご指摘のとおり、スクールソーシャルワーカーには、社会福祉や司法等の専門的な知識と技能を活かして、貧困をはじめ、児童生徒の置かれた様々な環境課題を解決する役割が期待されているところであり、本県では本年度より2名のスクールソーシャルワーカーを定時制の高等学校に配置したところです。
 また、県内の一部の市町村では、スクールソーシャルワーカーを独自に配置しており、深刻な家庭環境にある子どもの状況についての対応を学校と協議したり、保護者との面談を重ね福祉的支援が受けられるように関係機関につなげたりすることで、子どもたちの学校生活が改善したという報告もうかがっております。
 県教育委員会といたしましては、スクールソーシャルワーカーの必要性は十分に認識しており、今後、高等学校におけるスクールソーシャルワーカーの活用状況や市町村での先進的な取組の成果と課題を整理してまいります。その上で小中学校におけるスクールソーシャルワーカーの充実が図られるよう、その方策について検討してまいりたいと考えております。


 今、子どもの貧困状態でクローズアップされているのが、食べることもままならない現状があることです。国の子どもの貧困対策大綱も県の推進計画も、学ぶことへの支援は打ち出しても、ちゃんと食事ができていない子供への救済策については何ら触れられていません。食べるという行為は、生きるための基本的な営みで、ちゃんと食べられなければ自信も学ぶ意欲もわいてきません。子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に着けていくためには、何よりも「食」が重要であり、貧しさゆえに食べられない子どもへの「食」についても考えていくべきだと思います。
 子どもの貧困対策大綱の「生活の支援」では、子供への生活支援に「食育の推進に関する支援」が記述されています。しかし、この「食育の推進に関する支援」は、子供の発育・発達・健康状態に必要な栄養量が確保できる食事の提供や栄養管理を児童福祉施設の食事や学校給食で支援することに努めるというもので、家庭でのきちんとした食生活を送れていない経済的に困窮した子どもたちへの食のサポートに触れたものではありません。

Q:本県が策定の「はぐみんプラン」の中の「子供の貧困対策推進計画」では、食べることもままならない子どもへのフォローをどのように考えていると理解すればよいのでしょうか? 

【健康福祉部長】
 本年3月に策定した「あいちはぐみんプラン2015-2019」は、「子ども・子育て支援事業支援計画」、「子どもの貧困対策推進計画」及び「児童虐待防止基本計画」と一体的に策定することで、新たな課題に対応した本県の「子ども・子育て」に関する総合的な計画として位置付けているものでございます。
 議員御指摘の「食」は生活困窮家庭だけでなく、すべての子どもの健やかな成長のため、大変重要であると認識しております。
 そのため、「はぐみんプラン」におきましては、重点目標の一つである「すべての子ども・子育て家庭への切れ目ない支援」の中に「子どもの健康の確保」を基本施策の1つとして位置付けております。
 取組の方向性としては、子どもの食事や睡眠などの基本的生活習慣を整えることが重要であるとの認識のもと、そのための育児相談や様々な母子保健サービスによる支援、保育所や学校を通じた食育を推進することとしております。
 具体的には、市町村が行う乳幼児健康診査や学校教育における健康診断において、それぞれの子どもの発育状況を確認していただくとともに、十分に栄養が取られていない子どもを把握した場合には、子どもの健康を確保するため、市町村を始め関係機関が連携を密にして、適切な支援を行っていただいているところです。
 県としましては、関係機関と連携を図り、こうした子ども達をしっかりとフォローできるように支援並びに指導・助言してまいりたいと考えております。


 さらに、本県の食育推推計画として平成23年5月に策定された「あいち食育いきいきプラン2015」についてもお聞きしておきます。同プランは食を通じて健康な「体」をつくり、豊かな「心」を育み、「環境」にやさしい暮らしを築くことを3本の柱に、乳幼児から高齢者に至るまでライフステージと生活場面に応じた切れ目のない食育を進めることを取組の特徴としています。
 現在の「あいち食育いきいきプラン2015」の計画期間は、今年度までであるため、来年度からを計画期間とする次期食育推進計画について策定作業を進めると聞いております。
 近年では、飽食時代、子供の栄養過多、食べ残しなどによる大量の食品廃棄などが問題視されており、一方では、貧しさゆえにちゃんと食事ができない子どもがいるという正反対の現実があります。

Q:次期食育推進計画の作成の検討に当たっては、貧困の子どもは6人に1人、貧しさゆえに明日が食べられない子どもがいるという、こうした直近の社会情勢を踏まえて検討すべきだと考えますが、今後プランの作成をどのように進めていくのかうかがっておきます。

【農林水産部長】
 愛知県食育推進計画は、県民一人ひとりが食の大切さを理解して、主体的に食育に取り組むための指針となるものであり、知事を会長とし、農林漁業者、食品関連事業者、消費者を始め、教育、保育、社会福祉、医療・保健などの多様な分野の有識者からなる愛知県食育推進会議において作成しております。
 現在、平成28年度を初年度とする次期食育推進計画の年度内の作成に向けて、現行計画である「あいち食育いきいきプラン2015」の成果と今後の課題などの整理を進めているところであります。
 こうした中で、依然として、若い世代における朝食欠食率が高いなどの課題があることから、健康や栄養に配慮した食生活が実践されるよう、引き続き取組を進めていく必要があると考えております。
 また、共働き世帯やひとり親世帯の増加といった家族形態の多様化など、様々な社会の変化に対応した食育の推進が重要であると認識しておりますので、議員お示しの子供の貧困などの社会情勢も踏まえつつ、次期食育推進計画の検討を進めてまいります。


 本年4月2日、政府は子供の貧困対策に民間資金を活用した基金を新設すると発表しました。基金は企業や市民から募り、家計が苦しい子どもを支援する団体の活動費の一部などを企業・市民の善意のお金に頼るというものです。企業にとっては社会貢献の一環ともなることから、基金の今後に期待したいところです。
 さて、子どもの貧困対策に民間のチカラを借りて…というところであれば、すでにフードバンク活動を通じて企業や団体が子供の支援に手を差し伸べている現状があります。フードバンク活動です。
 「フードバンク」とは、品質に問題がないのに包装の不備や賞味期限が近いなどのさまざまな事情で、まだ食べられるのに捨てられる運命の「食品ロス」を企業や農家、個人から無償で提供してもらい、食事に困っている人に配る活動のことで、今、全国的な広がりをみせています。
 農林水産省が2012年に発表した日本の食品ロスの年間総量は500~800万トンともいわれ、そのうち事業者から出る食品ロスは300~400万トン。食品産業における食品リサイクルの推進など、生産・流通する側も「もったいない」意識をもって環境への配慮を徹底するとともに、フードバンク活動への取組みについても社会的な理解が進んでいます。
 本県でも名古屋市北区に東海地区で最大規模のフードバンク「NPO法人セカンドハーベスト名古屋」があり、同施設に企業から持ち込まれた食品ロスは昨年度511トンにのぼり、小売価格に換算すると3億円に相当するということです。これら大量の食品ロスは、行政などから紹介を受けた家庭に無償で提供されますが、収入が生活保護の水準を下回り、さまざまな事情から生活保護を受けていない子育て世帯も目立ちます。

Q:このような「フードバンク活動」は食品ロス削減にもつながっていると考えていますが、“食品ロス削減”の観点からはどのような認識を持ち、どのような取組みを行っているのでしょうか?

【農林水産部長】
 フードバンク活動は、包装の印字ミスや賞味期限が近いなどの理由から、十分安全であるにもかかわらず廃棄されるはずだった食品を、有効利用する取組であり、食品関連事業者が行う食品ロスの削減手法として有意義な活動であると考えております。
 「あいち食育いきいきプラン2015」では、食を通じて環境に優しい暮らしを築くため、農林水産業や食品産業における環境への配慮を徹底する取組のひとつとして、フードバンク活動の普及啓発を行うこととしております。
 具体的には、県内の食品関連事業者に対し、機会を捉えて、フードバンク活動を行う団体を紹介するとともに、本県の食育のポータルサイト「食育ネットあいち」にフードバンクの取組を掲載するなど、広く普及啓発を行っているところであります。
 今後とも、こうした取組を通じて、食品ロス削減の観点から、フードバンク活動について、企業や県民の皆様の理解がさらに深まるよう努めてまいります。


Q:生活困窮者への地道な支援活動としての「フードバンク活動」に対しての本県の認識とどのような取組みを行っているのかうかがいます。 

【健康福祉部長】
 次に、フードバンク活動についての御質問のうち、私からは、生活困窮者への支援活動としての認識などについてお答えいたします。
 フードバンク活動は、十分安全であるにもかかわらず、賞味期限が近いなど通常の販売が困難な食品を、生活困窮者を支援する団体などに無料で配布する活動であり、生活に困窮している方々に生活の基本となる食料を提供していただくとともに、支援団体の活動にも貢献していただいており、社会福祉の推進に大いに寄与していただいているものと認識しております。
 現在、県内において、社会福祉協議会、生活困窮者を支援するNPO団体等、 40を超える支援団体が、フードバンク活動団体と連携して食品の提供を受けて、食料を必要とする生活困窮者に対して、緊急食料支援を行うとともに生活相談を行うなど自立支援に役立てていただいているところです。
 また、県の福祉相談センターにおきましても、フードバンク活動団体から食料の提供を受けるなど連携しながら、生活困窮者の支援を行っております。
 県としましては、今後ともフードバンク活動団体と連携するとともに、この活動がさらに広がるよう、各市町村の生活困窮者支援機関、市町村社会福祉協議会等に様々な機会をとらえて周知を図るとともに、積極的に取り組んでいただくよう、お願いしてまいりたいと考えております。


 最後に、国の方が子どもの貧困対策に民間のチカラを借りて…と打ち出したことでこの先、本県でも企業や団体に基金の創設や支援を社会貢献としてもお願いできると思います。貧しさは子供の責任ではありません。

Q:経済的に苦しい家庭の子ども達に、行政のチカラにプラスして民間のチカラを借りる取組についてのご所見をうかがいます。 

【健康福祉部長】
 子どもの貧困対策に限らず、様々な福祉対策の推進に当たっては、どうしても行政だけでは、限界があり、社会福祉法人やNPO、ボランティア、民間企業や団体の方々の御協力、御支援が欠かすことができません。
 国においても、昨年8月に示された「子供の貧困対策に関する大綱」の中で、「子供の貧困対策が国を挙げて推進されるよう、国、地方公共団体、民間の企業・団体等による官公民の連携・協働により推進する。」としております。
 本県においても、従来から児童養護施設の子ども達等に多くの民間企業や団体から、生活を支援するために、米や餅、季節によってはアイスクリームやケーキなどの寄贈、或いは寄付金を長年にわたっていただいているところです。
 そのような企業、団体等には知事から感謝状を贈呈するとともに御寄付による支援活動を子どもたちや県民の皆様にお知らせしているところでございます。
 今後も、引き続き、民間の方々の御協力、御支援をいただきながら、市町村、関係団体等と連携して地域福祉の向上に努めてまいりたいと考えております。



2.良好な自転車交通秩序の実現に向けた取組みついて

 本年6月1日から、自転車で危険行為を繰り返した運転者に講習の受講を義務付ける「自転車運転者講習制度」がスタートしました。
 刑事罰の対象となる14歳以上の運転者が、自転車を運転して「信号無視」や「一時不停止」、「酒酔い運転」などの14類型の危険行為をして3年以内に2回以上検挙されると5,700円の講習手数料を支払って3時間の講習を受けなければなりません。また、講習の受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金の対象となります。こうした制度が設けられた背景には、自転車の交通ルールを無視した悪質・危険な運転が横行し、自転車関連の交通事故が多発していることから、自転車運転も交通ルールを守る必要性を認識してもらって悪質な運転を改めさせるのがねらいです。
 しかし、いまだに自転車はどこをどう走ればいいのか?何をしたらいけないのか?よくわからないところがあります。はっきりと言えることは、もはや自転車も “お気楽なのりもの”ではなくなってきているということです。
 自転車運転者も交通ルールや法規を知って走行しない違反者は検挙されるわけですから、日常生活の中での自転車に対する意識改革、安全運転できる環境整備などが必要であります。

 この6月1日からの講習制度のスタートを機に、本県警察は自転車の取締りを強化するのですか?との問いに、今回の講習制度がスタートしたからと言って、講習制度ありきで自転車の取締りを強化することではない、という答えが返ってきました。
 本県では平成18年6月から、「自転車」であっても悪質・危険な違反であれば、刑事処分の対象となる「赤切符=レッドカード」を切る!という強い姿勢で臨んできた経緯があります。
 本県のここ20年間の交通事故発生状況をみると、平成16年には交通事故による死傷者数も77,099人、そのうちの自転車に関する事故も14,216人とともにピークに達し、以後、平成18年から悪質な自転車運転者への取締りを強化してきたことで、平成26年は自転車に関する交通事故は9,727人と4,489人減少するなど大きな成果はあったと思います。ちなみに、本県の平成26年の自転車事故による死傷者数9,727人の内、死亡者は37人で、内17人に自転車側に法令違反があった第一当事者だったといい、その大半の11人が「一時不停止」だったそうです。道交法では自転車は軽車両なので「止まれ」の標示には従わないといけないのですが、自転車も標示・標識に従う認識は薄く、交通社会を構成するすべて人が、自転車の取締りが強化されたことで違反者にはかなり重い処罰が科せられることを周知徹底させなければなりません。

 そこで、自転車の飲酒運転について触れたいと思います。
 自転車は道路交通法上「軽車両」なので、自動車やバイクと同様、酒気帯び運転が禁止されています。ただし、自動車・バイクと異なり、罰則が適用されるのは酒酔い運転=「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態で自転車を運転した場合」に限る。酒酔い運転をした自転車の運転者には、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い刑罰が科せられることはずいぶん浸透してきましたが、まだまだ自転車は歩行者の延長的な感覚で「お酒を飲むから自転車で出かける」という傾向はぬぐいきれません。
 この6月1日からの自転車運転者講習制度の対象となる危険行為14類型の中にも「酒酔い運転の禁止」が列記されていますが、本県では平成18年~26年までの9年間に自転車の飲酒運転による事故死者は17人に上り、酒酔い運転での検挙は26件にのぼりました。この6月1日からは自転車の飲酒運転はかなりの重罪であることを、この機会に認識しなければなりません。
 私は平成18年6月議会でも「自転車の酒酔い運転の取締りについて」質問いたしました。当時の警察本部長の答弁では、自転車の酒酔い運転、すなわちアルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある場合、例えば蛇行したり、転倒したりとかいった場合には、罰則の適用があります。
 一方、そうした酒酔いの状態に至らない場合、いわゆる酒気帯びの段階では罰則は適用されないということになっています。禁止はされているが罰則の適用はなく、警察の取締りにおいては指導警告にとどめ、明らかに危険、あるいは著しく迷惑を生じさせた場合には検挙の対象として取締りを行っていく、ということでありました。
 本県では、この6月1日からの講習制度スタートに合わせて、自動車の運転免許を持っている人が酒によって自転車に乗った場合、車の運転免許を6か月を超えない範囲で停止することを明確にしました。
 自転車の飲酒運転に対しても甘く考えてはいけない、ということであり、酒宴で出くわす身近なケースについても認識を新たにしなければなりません。
 例えば、酒酔い運転をした自転車の運転者には、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金。そして、酒酔い運転するとわかっていながら自転車を貸し与えた者には、酒酔い運転をした者と同じ5年以下の懲役又は100万円以下の罰金、自転車に乗るとわかっていながらお酒を提供したり勧めたりした者には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となりますが、こうした法令の周知は未だ十分とは言えないと思います。乾杯する前に、「自転車じゃない?」とお互いに確認し合う場面が出てくるわけです。


Q:自転車運転者講習制度の導入を踏まえ、自転車の違反に対する取締りの現状と今後の取締り方針、また自転車の法令周知の徹底をどう押し測っていくのか、自転車の飲酒運転についてもその方策をうかがいます。

【警察本部長】
 自転車の指導取締り等についてですが、取締りの現状につきましては、本年5月末までに交通切符による検挙は195件、指導警告票等による指導は約1万8千件実施しており、自転車運転者講習制度導入開始後で申し上げると、6月1日から20日までの間の交通切符による検挙は57件となっております。
 自転車の指導取締りにつきましては、法令違反に対してまずは指導警告を行うことで正しい交通法令の周知とその遵守を促し、そうした指導に従わない場合や歩行者等に対する危険を生じさせるような悪質・危険な違反に対して、交通切符等を用いて検挙しております。
 こうした対応につきましては、自転車運転者講習制度の導入前後におきましても変わるところはありません。
 自転車の交通法令の周知につきましては、今回の講習制度導入にあわせて積極的に行っており、具体的には県警で独自に作成したチラシを活用した街頭広報啓発活動や、ラジオ番組や県警のホームページなどを利用した広報のほか、テレビや新聞等への情報提供によってその周知に努めております。
 特に、議員お示しの自転車の飲酒運転につきましては、運転行為自体が厳罰の対象となるばかりでなく、交通事故の当事者となるおそれの高い危険な違反でありますので、酒類の販売店や提供店と連携した広報啓発活動を進めるなどして、自転車の飲酒運転根絶に努めてまいりたいと考えております。
 自転車の交通法令遵守につきましては、法令の周知と指導取締り活動の双方をバランスよく進めていくことが重要であると考えており、今後とも自治体や教育機関と連携した広報啓発活動を強化するとともに、引き続き自転車の交通違反に対する指導取締り活動を実施してまいりたいと考えております。


 今一度、自転車は「車両」であるということを、自転車利用者のみならず交通社会を構成するすべての人に認識をさせ、良好な自転車交通秩序の実現を図っていかなければなりません。
 それには、自転車利用者に対するルールの周知及び自転車に係る交通安全教育並びに自転車の通行環境の整備、そして自転車利用者の交通違反に対する街頭指導取締りを一体に考えての取組みが求められます。
 自転車道や自転車レーンの整備については、道路管理者と警察とが連携して進めていくこととしていますが、やはり一番の課題は自転車利用者に対するルールの周知と自転車に係る交通安全教育です。
 自転車が加害者となる事故を減らすため、交通ルールをどうやって周知し、順守させるかが課題となっています。自転車の講習は、運転免許の試験があり、更新時の講習で交通ルールを再確認できる自動車とは違い、小中高生などの学校行事や老人会、町内会、各種イベントなどに限られ、交通社会を構成するすべての人が学べる機会は少ないと思います。
 昨今では自転車の利用者を対象に講習会を開き、独自の運転免許を自治体や学校が発行するケースも増えています。公安委員会が交付する自動車運転免許のように法的な効力はないものの、安全運転への意識づけには効果があるようです。
 自転車運転に対する取締りの厳格化と共に「安全運転義務」があることを認識するには義務違反をした人だけの講習制度ではなく、より幅広く自転車に係る講習を行なうとともに、特に自転車の利用頻度の高い中高生に対しては、一定の知識や技能の習得を担保するため、自転車運転免許制度の導入などが効果的と思われます。
 また、昨今では子ども自転車が加害者となって親が巨額の賠償金を支払わなくてはならないケースも増えてきています。
 2013年、当時小学5年生の子どもが自転車を運転し、62歳の女性と正面衝突した事故で加害者の子どもに代わって親に、「監督義務を果たしていない」と約9500万円という高額賠償の判決が出た事例がありました。この事件以外にも、被害者が死亡や後遺障害が残った事故で5000万円以上の判決が出ているケースが近年増え、高額賠償の判決を受けて自己破産をする人も出てきています。
 自転車の保険の加入については、東京都で平成26年7月施行の自転車安全利用条例で、自転車販売店が購入者に保険の説明をするよう努力義務を課していますし、兵庫県でも本年4月に施行された「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」で、自転車利用者に損害賠償保険に加入するよう義務付けています。

Q:自転車利用者に対する交通安全教育の効果的な推進と自転車保険の加入促進について、警察本部長のご所見をうかがいます。

【警察本部長】
 自転車利用者に対する交通安全教育等についてですが、自転車は子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層が利用するものでありまして、あらゆる年齢層の方を対象とした交通安全教育を実施しております。こうした交通安全教育につきましては、反復継続して実施されることが望ましいところ、必ずしもその機会は十分であるとは言い難い状況にありますので、不特定多数の方が集まる場所において各種シミュレーターを積載した交通安全教育車による出前型交通安全教育を行うなど、工夫を凝らした、より効果的な交通安全教育の実施に努めております。特に、自転車の利用頻度の高い中学生や高校生に対しましては、関係機関・団体と連携し、スタントマンにより自転車事故を再現してその危険性を疑似体験させる交通安全教育を実施しておりますほか、自転車に係る学科試験と技能試験を行い、合格者に自転車運転免許証を交付し、当該免許証を自転車通学の条件とする自転車運転免許制度を学校と連携して実施するなどしております。
 また、自転車保険への加入につきましては、万が一の交通事故に備えるだけでなく、自転車が車両であり、加害者となり得るものである、という認識を深めるためにも効果があるものと考えております。
 そこで、自転車による交通事故でも、被害者に後遺障害が認められる場合では、自転車の運転者に多額の損害賠償責任が生じるおそれがあることなどについて、実際の事故事例を紹介して広報するなど、保険の加入促進に努めております。
 今後とも、創意工夫を凝らした、より効果的な交通安全教育の実施に努めるとともに、自転車保険の加入促進を図ってまいりたいと考えております。
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